スポーツドック
当院ではスポーツドックと位置付けて、「運動能力計測」「メディカルチェック」を行っています。
スポーツドック設置の背景
これまで、種々のスポーツに起因するケガや故障を抱えた患者さんを診療してきました。そのような症例に対して様々な医療資源を用いて治療を行い、状態の回復をサポートしてきました。
スポーツに身を置く方々においては、自分の能力の極限の中で、ときに極限を越えて競技に邁進しておられます。その中でどうしても避けられないのがケガや故障です。その多くはコンディションが悪い時にアクシデントが起こった場合、あるいは疲れが蓄積して動きが悪くなっている場合、など、本来良好なコンディションであれば防げたであろうケガや故障に見舞われるというケースが多いのが実情です(もちろん万全の状態であっても不慮のケガも起こり得ます)。
また、時には重篤な状況に陥ってしまうケース(不整脈や心筋梗塞での死亡例など)もあり、自身のコンディショニング不良は油断できません。
また、適切で理想的な動作や強靭な身体や心構えなどが備わっていると、そもそもケガをしにくい身体となり、少々の疲労やコンディション不良であっても乗り切れることも多々あります。予め自らの能力とコンディションを高めて整えていけば、余計なケガや故障を防げますし、より良いパフォーマンス・結果につながっていきます。
そういった事実を踏まえ、当院では怪我をする前段階、故障する前段階に着目しました。ケガをしてから治す「治療」だけでなく、怪我をしない状態を作る「予防・コンディショニング・パフォーマンスアップ」です。
せっかく好きでやり始めたスポーツだと思いますので、同じやるなら安心安全でかつケガせずに自身の満足のいくスポーツライフを送ってほしいと思っています。
自分の現在地を知るためのスポーツドック
自分自身のスポーツライフをより良くより満足なものにするためには、まず自分の運動能力・身体能力を把握しなければなりません。己を知り、目指すべき目標を定め、足りない部分、足りている部分を把握して、適切なトレーニングを積んでいってほしいと考えています。
その点で、スポーツを行う上で2つの重要な要素があります。「いかに能力を維持向上させるか」という点と、「いかにコンディションを維持向上させ、怪我や故障・疾病を防ぐか」という点です。
そこで当院では「スポーツドック」という呼び方で、前者の視点については科学的にアプローチした「運動能力測定」、後者の視点については医学的にアプローチした「メディカルチェック」を行います。
スポーツ科学としてのスポーツドック
当院では「スポーツ科学による運動能力測定」について、株式会社日本スポーツ科学が開発運営している「アローズラボ」の測定システムを取り入れ、現時点での運動能力を測定しています。瞬発力・持久力・最大筋力・視力(スポーツビジョン;動体視力など)・跳躍力などを計測します。使用する機器としてBIODEXやINBODYなど種々の測定器を用います。
これにより、現時点でのスポーツに必要な自分の運動能力や視力がわかるだけでなく、約2万人のデータからAI解析したデータにより、自身の現在地や強化ポイントなどを見える化し、自身のトレーニングや競技力UPにつなげていくいくことが出来ます。今までではあいまいになっていた自分の現状がよりクリアになり、目標設定がより具体的になっていきますので、自分の理想に向かって強化を図っていくことが可能となります。
(当院は医療機関ですので、運動能力測定に関する種々の検査は『自費診療』扱いとして現時点での身体状態チェックの一環として行うという位置づけになります。)
スポーツ医学としてのスポーツドック
スポーツドックのもう一つの軸であるメディカルチェックは、医療機関だからこそ可能な内容です。
血液検査、超音波検査、心電図検査、レントゲン検査などを駆使し、現時点での自身の健康状態や身体的コンディションを知ることが出来ます。本人には自覚が無くても、例えば貧血が進行していたり、不整脈を生じていたり、痛みがあった箇所が実は骨折していたり靱帯が損傷していた・・・などを把握することができます。自身の体の状態を知らずに続けていると取り返しのつかない大きな故障やケガにつながり、プレーヤー人生に大きな影を落としてしまう、といったことを未然に防ぐことが可能になります。これらのメディカルチェックは日本のナショナルチーム、ナショナルトレーニングセンターでも採用しているような項目を当院でも準拠しています。このように、トップ選手だけでなく、それ以外のカテゴリーの選手にもトップ選手と同様にスポーツ医学の観点からより良いスポーツ環境に身を置くことが出来る様なサポート体制を当院では整えています。
(※基本的にはメディカルチェックは『自費診療』扱いです。ただし、場合によっては『保険診療』で扱える場面もあります)